導入事例・お客さまの声

世紀を超えて安全安心を貫く  株式会社 江戸清 様

「食」を通して社会に奉仕する企業をつくる

株式会社 江戸清(えどせい) 様(神奈川県横浜市)

「ブタまん」1個500円 250g (価格はすべて税込) 「ブタまん」1個500円 250g (価格はすべて税込)
1894(明治27)年、食肉販売業として横浜の外国人居留地(現横浜中華街)で創業した江戸清様。以来、地元横浜に根差し、「食」というテーマに真正面から取り組み、実に124年目をむかえる。その長い歴史のなかでも、江戸清様の代名詞ともなっている「ブタまん」は、レストラン式の食事が中心だった横浜中華街に「食べ歩き」という新しいスタイルを生み出し、これまでとは違う幅広い層のお客さまを同地に呼び寄せた。江戸清様は、自らの発展はもとより、横浜中華街の発展をも牽引してきたと言っても過言ではない。
この「ブタまん」、ご存じの方には今さらではあるが、とにかく大きくてずっしりと重い。通常の中華まんが100g前後なのに対して、「ブタまん」は250gとそのボリューム感は群を抜いている。ただ大きくて重たいだけではない。「中身が2倍、おいしさ3倍」とうたう、同商品のキャッチフレーズの通り、なんとも味わい深く、一つあっという間に食べられてしまう。このワンコインで満足感たっぷりの「ブタまん」をはじめとする魅力的な商品を数多く展開する江戸清様。このたび、同社の四代目にして現社長の高橋伸昌様にお話をうかがう機会をいただいた。
 

「ブタまん」は先代そのもの
その日訪問したのは、横浜市金沢区にある江戸清様の横浜本社工場。高橋社長は、実に気さくに、そして実に興味深いお話をたくさん聞かせてくれた。まずは「ブタまん」の誕生秘話から紹介する。
「この『ブタまん』は、私にとっては、先代である、父そのものなんです。父が考案して、手塩にかけて育てたものですから。当時横浜中華街も、将来に向けてますます観光の街に変貌を遂げようとしていました。父は、この地にあって肉屋の業態のままだと、江戸清の発展はないだろうと考えたわけですね。それであらたな商品開発が始まった。そこには、肉屋として自慢の豚肉を使う、中華街で売るからには中華のテイストは必要、食べた後に満足感がひろがる、ワンコインで買いやすい商品形態にするといういくつかのコンセプトがありました。そして1年半の時間を費やしてできあがったのが、1個250gで国産豚肉をベースに野菜、魚介類をぜいたくに配合した『ブタまん』だったんです。先代いわく、お客さまに『おいしい』と喜んでもらえるものをつくりたいという一心でつくった結果が中華饅頭であり、この大きさで、この重量、この味になったとのことです。これは、肉屋だったからこそできた傑作、食肉のプロ集団の江戸清ならではの商品になったと自負しています」。
  
 
株式会社江戸清横浜本社工場
江戸清様は、食品事業として「中華点心」と「食肉加工品」の2つの分野を手掛けておりその生産拠点をここ横浜本社工場と千葉工場の2つに分けて機能的な生産体制をとっている。いずれの工場も「ISO22000」の厳しい安全衛生基準を採用し、消費者に安全安心な食品を提供できるようその管理も徹底している。  
 
 
 
 
株式会社 江戸清
代表取締役社長 高橋 伸昌 様
創業124年の老舗を率いる四代目であり、横浜中華街全体の発展を目的に活動する横浜中華街発展会協同組合の理事長も務める。多忙ななか、趣味である「釣り」に興じる時だけは、日常を離れ心を空にして思索の時間にあてるという。座右の銘は、「報恩感謝」。今の自分があるのは、たくさんの人のおかげであり、その恩に報いるような生き方をしたいと謙虚に語る。この考え方は、社是「事業を通じて社会に奉仕する」にも通じ、江戸清様の社風として定着している。  
 
   生産機械は安全安心を実現する手段
江戸清様横浜本社工場内では、「ブタまん」
をはじめとする各種中華まんの生産が行われている。その生産機械として弊社の火星人を中心にした中華まん生産ラインが稼働中だ。この機会に特別に許可をいただいて生産現場を見せていただいた。
清潔に保たれた工場内では、中華まんの自動生産が淡々と行われていた。担当者が火星人に生地と中華まんのフィリングを投入した後は、包あん成形、ひだ付け、紙敷き、トレイへの配列とすべて自動で進められていく。省力化されていると同時に、人手を介さないので、とても衛生的に生産できるのだ。
江戸清様では、一般的な安全衛生基準よりもさらに厳しい社内基準があるという。そこで使用する生産機械について、高橋社長はこう話す。「『事業(食品製造)を通じて社会に奉仕する』という社是をかかげる江戸清にとって、食品の安全安心は、まさに一丁目一番地なんです。もちろん『おいしい』とか『品質が良い』という要素は当たりまえですが、『安全安心』という要素があってはじめて真の江戸清品質と言えますから。今の時代、生産効率アップのためや省力化のために機械を使うというのは、むしろ当然のことと言えるでしょう。ですから食品機械には、私たち使う側にとっても安全安心で、さらにはつくる食品の安全安心も担保してくれるものであってほしいと思いますね。そのうえで今度は、私たちが工夫して上手に使いこなしていけば機械というのはとても合理的な生産手段だと思います。ただね、レオンさんの機械を使っているからといって、どのメーカーでも必ず同じものができるというのは間違いだと思うんですよ。うちには、機械に投入する材料ひとつひとつの配合や温度管理、練り方まで他社がマネできないノウハウがありますから、同じレオンの機械を使っても、出てくるものが違う、さすが江戸清という商品を生み出していきたいですね」。
 
 
高橋社長はさらにこう続けた。「うちは生産担当者にも、『ブタまん』をはじめ、自分たちがつくった商品が実際に消費者の皆さまに食べていただいて、どんな評判だったのかをきちんと伝わるようにしています。商品をつくる人に『お客さまに喜んで食べてもらいたい』という気持ちが入っていなかったら、本当にいい商品はつくれませんから。そのうえでプライドを持って生産してもらっています」。高橋社長のコメントに、「ブタまん」を開発をする際、「お客さまに、おいしいと喜んでもらえるものをつくりたい。その一心だった」という先代の社長様のエピソードがオーバーラップしてくる。まさに、「お客さまの目線に立って、製品やサービスの向上に努める」という同社の「顧客志向」の精神が商品に宿っているようだ。江戸清様の「ブタまん」を食べて、ひと味違うなと感じたら、その隠し味は、高橋社長の言う「つくる人たちの気持ち」なのかもしれない。そんなことを思いつつ、今度は中華街にある同社のお店を訪ねてみることにした。
   
  中華街に「食べ歩き文化」を生む
中華街大通り沿いにある江戸清様横浜中華街本店の店頭には、この日も行列ができていた。店頭蒸したての名物「ブタまん」を買う人の列である。実際に購入した女性3人のグループに話を聞いてみた。ブタまんは良く買われますか。「いえ初めてです。今日大阪から来て、地元の有名な中華まんと食べ比べてみようと思ったんですが、あまりの大きさにびっくりしてます。とりあえず1個をみんなでシェアして食べます」。3人は、ひときわ大きい「ブタまん」をほおばりながら街のなかへと歩いていった。今でこそ当たりまえの風景だが、横浜中華街にこの「食べ歩き」という新しい食文化を生み出したのも江戸清様である。高橋社長はこう話す。「もともと中華街というのは、レストランスタイルの飲食店が主流で、席について食事をするような方々しか来られなかったんです。そこにうちが『ブタまん』を出したことによって、1品何千円もする料理は無理でも、これなら買えるという若い人たちが気軽に足を運んでくれるようになった。とにかくさまざまな年齢層の方が来てくれることによって、いつかは本格的な中華料理を食べたいという、中華ファンをつくり出すことができたわけです」。
 
江戸清横浜中華街本店外観。「ブタまん」の店頭での蒸したて販売に列をつくるお客さま。江戸清横浜中華街本店外観。「ブタまん」の店頭での蒸したて販売に列をつくるお客さま。
頭の販売スタンドで、蒸しあがった「ブタまん」を購入するお客さま。中華街を食べながら歩くスタイルは、今や定番化している。頭の販売スタンドで、蒸しあがった「ブタまん」を購入するお客さま。中華街を食べながら歩くスタイルは、今や定番化している。    自社だけではなく、横浜中華街全体の成功をも牽引する江戸清様。高橋社長は、横浜中華街発展会協同組合の理事長という重責も兼務されている。多忙ななかでのさまざまな職務は大変ではないですかと聞いてみると、こんな話で返してくれた。「たらいに水が張ってあるとします。この水を『幸運』とか『成功』に例えたとしたらあなたならどうしますか」。私は少し考えてから、自分のほうに水が来るようにかき集めますと答えた。高橋社長の答えはこうだった。「水を自分のほうにかき集めようとすると必ず自分側の縁にぶつかって跳ね返っていってしまう。反対に、自分のほうから相手側に送ると、相手側の縁にあたった水がやがて自分のほうに跳ね返ってきます。それと同じことなんです。江戸清の発展は、まず中華街の繁栄がなければありえない。もっと言えば横浜の繁栄がなければ成り立たない。だから自分たちのことばかり考えていてはだめ。地域への貢献に力は惜しんじゃいけないんです。地域の繁栄や成功は必ず自分たちに返ってきますから」。この視野の広い考え方こそが今日の江戸清様をつくり、これからの中華街を、横浜をリードしていく原動力になるのだと実感した。
 
横浜中華街本通り。幅広い年齢層の人々が行き来する現在の風景。「ブタまん」の発売がこれまで訪れなかった人々も呼び寄せて、来訪する客層を大きく広げたことは間違いない。横浜中華街本通り。幅広い年齢層の人々が行き来する現在の風景。「ブタまん」の発売がこれまで訪れなかった人々も呼び寄せて、来訪する客層を大きく広げたことは間違いない。
江戸清様横浜中華街本店内。店頭で買った「ブタまん」を食べる人、お土産を購入する人で終日にぎわう。江戸清様横浜中華街本店内。店頭で買った「ブタまん」を食べる人、お土産を購入する人で終日にぎわう。  最後にこんな質問をしてみた。江戸清様の次の100年にどのような展望をお持ちですか。「100年先までは分かりませんが、将来的にも『食』に関わる事業を続けているとするならば、やはり安全安心の励行、これに尽きます。江戸清が124年継続できたのは、ここを踏み外さずにやってきたからです。これからもこれだけは、継続していって欲しいと思います。安全安心こそ、うちの生命線ですから」。とてもシンプルだが、先人たちから受け継いできた事業への高橋社長の真摯な気持ちが伝わる答えが返ってきた。  
 
 
つつむ No.156号 (2019年1月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
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