導入事例・お客さまの声

人まねではない独自のものをつくりたい  竹隆庵岡埜 様

竹隆庵岡埜(ちくりゅうあんおかの)様 (東京都台東区)

「こごめ大福」白/草 単品でも購入できるが、竹かごに入ったパッケージもお土産などに人気を呼んでいる。 「こごめ大福」白/草 単品でも購入できるが、竹かごに入ったパッケージもお土産などに人気を呼んでいる。
東京都台東区根岸、関東大震災や第2次世界大戦時にも罹災しなかった市街地は、古い建物がそのまま残り、今も下町情緒を存分に感じさせてくれる。そんな下町に育まれ愛されてきたお菓子がある。竹隆庵岡埜様の会長であり創業者の竹田隆様が考案した「こごめ大福」だ。変わらぬ味は、2代目の竹田雅之様に受け継がれ、世代を超えて今もなお支持され続けている。さらに雅之様は、大粒栗をそのまま包んだ「ほいろ栗饅頭」など次々に銘菓を送り出している。今回は、その下町の人気菓子店を取材させていただいた。

竹隆庵岡埜様本店。1958(昭和33)年6月に台東区根岸で創業した同店は、本店のほかに都区内に計10店舗を展開している。竹隆庵岡埜様本店。1958(昭和33)年6月に台東区根岸で創業した同店は、本店のほかに都区内に計10店舗を展開している。

 
 

(左)会  長 (創業者) 竹田 隆 様
(右)代表取締役社長 竹田 雅之 様

竹田雅之社長(右)は自身のモットーについて「父の新潟人気質である継続は力なりという一貫性と、母の近江商人の気質を受け継ぐ三方良しの考え方を両立することです」と話す。 落ち着いた雰囲気の本店内。落ち着いた雰囲気の本店内。

庶民的でありながら他店にはないもの
落ち着いた佇まいの竹隆庵岡埜様の暖簾をくぐる。迎えてくれたのは、会長の竹田隆様と社長の竹田雅之様。まずは、看板商品の「こごめ大福」について会長の隆様にお話を伺った。「ここ根岸には当初5軒ほどお菓子屋がありました。うちも初めは、『豆大福』をやっていて好評をいただいてたんです。ですが私の性分として『人まねではない独自のものをつくりたい』という、こだわりがずっとありました。『豆大福』は、他店でもやってますから、うちだけの特徴を出すというのは難しい。試行錯誤のなかで、大福の生地に少しうるち米を入れてやってみたんです。米の粒が残った独特の食感が出て、これならと思いましてね。偶然ですが、この地域の逸話で江戸時代に音無川近くの茶屋が『こごめ餅』にあんを包んで、上野輪王寺宮の公弁法親王へ献上したところ、大そうお誉めを頂きこれを『こごめ大福』と名付けていただいたという話があるんです。こうした歴史も読み解いて、古のお菓子を独自の味、配合でオリジナル商品として再現した格好になりまして。地元の皆さまには、大変喜ばれました」と「こごめ大福」の誕生秘話を感慨深くお話しいただいた。そして竹田雅之社長がこう続ける。「この『こごめ大福』。うちが商標を持っているんです。とるのに30年かかりましたけど、やはりその間の実績がないと認められないことなので大変光栄です」。こうして竹隆庵岡埜様は、名実ともに他店がまねできない商品をつくる菓子店となったのだ。
 

食感を再現できる機械じゃないとダメ
「うちは、毎日新鮮なものをお店に出してるから、工場の朝は早いですよ」と竹田社長に促されて取材の日の朝4時30分に本店2階の工場に伺った。「こごめ大福」の生産は毎日1000個~1500個。その包あん作業では、弊社の火星人「CN500」が活躍中だ。「初めて機械導入を考えたのは、『こごめ大福』を8個入りで2000箱ほしいという大量注文がありまして、当時は手づくりでしたので、500箱だけ承って夜通しつくったということがきっかけでしたね。その時だけは、手づくりに限界を感じました。看板商品なのに入った注文に100%応えられないというのは、製造元としては一番つらいことですから。機械生産に切り替えて余力を持ちたいと一念発起して火星人®を買いました。でも単なる機械化じゃダメだったんです。ご存知の通り『こごめ大福』は、食べた時に絶妙に残る米の粒の食感が特徴です。この食感を再現できないと。それには、火星人が最適でしたね」。長年連れ添う相棒に、竹田社長の信頼も厚い。その日の「こごめ大福」は1000個の生産だったが、1時間20分ほどで手際よく終了した。担当の方が「これで火星人は終了で、この後はあちらの出番です」と奥にある「RN洗浄機」をそっと指さした。「そうそう洗浄機も大活躍ですよ。うちも従業員の高齢化は避けられない事実で、とかく生産に目が行きがちですが、部品の洗浄も重労働。ここを自動でやってくれるのは助かりますよ」と竹田社長の頬もゆるむ。



火星人とオーブンの連携がいい
「こごめ大福」の生産が終わり、しばらくすると生産担当者と機械をスイッチして「ほいろ栗饅頭」の生産が始まった。こちらの生産を担当するのは、火星人「CN580」とオプション「固形物包あん装置」。しっとりとした生地で瑞々しい手芒あんが包まれ、真ん中に大粒の栗がひとつ丸ごと入る。同店の人気商品だ。棟方工場長が「CN580」のスイッチを入れると流れるような生産がスタートした。しばらく生産風景に見入っていると、「CN580」から出てきた饅頭は、頭部に窪みが押され、黄身が塗られる。これが、焼いた後に独特の焼き色、形を演出するのだ。やがて、天板ごとにラックに差された饅頭は、ラックのまま「レベントロータリーラックオーブン」に入れられて一気に焼成された。生産工程もさることながら、生産を担当する皆さんの動きが実に興味深い。黙々と生産を続ける「CN580」。黄身塗りが終わりラックがいっぱいになるタイミングで別な作業をしていた方が1名現れる。さっとオーブンに入れて元の作業に戻る。今度は、オーブンから出てくるタイミングで2名の方が配置につきオーブン出しとともに、天板から饅頭を番重へと移し替える。終わればまた元の作業に素早く戻る。この繰り返しの中に、特段合図もなければ、掛け声もない。もちろん人と商品の動線を乱す者はいない。工場長が「CN580」のスイッチを押した瞬間に工場全体が「ほいろ栗饅頭」フォーメーションに一瞬で切り替わったかのような印象だ。素晴らしい動きですねと竹田社長に伝えると「指揮官(工場長)が優秀だからでしょう」とにこやかに答えた後にこう話してくれた。「工場のみんなのチームワークがいいのは要因のひとつです。もうひとつは、『CN580』と『レベントロータリーラックオーブン』、生産能力の高いもの同士の連携がいいからですよ。今日も2000個生産していますが、1時間で終了できます。以前はね、固定オーブンを使っていたんですが、とにかく1回に焼ける量が少なくて、焼くだけで7時間ぐらいかかっていた時期がありました。このオーブンにしてからは、『CN580』の生産能力をそのまま飲み込めますから生産の流れが止まらない。これが最大の要因です」。レオン機の連携に竹田社長の評価も高い。



お店と従業員ともに成長していきたい
「機械導入で効率化した話をしてきましたが、私はやはり『人』だと思うんですよ。機械はあくまでも手段。メイン商品は火星人でどんどんつくって効率を上げて、余力を持って、手づくりが必要なものは手でつくる。そして、その使い分けも人が思案してやっていけるようになればいいんです。竹隆庵岡埜は、家業であって企業ではないと常々考えています。従業員は家族同然ですから、ともに成長していきたいと思います」。従業員の話をする竹田社長はとても嬉しそうだ。今回の取材を通して実感したことがある。工場のチームワークの良さも、効率化の成功もすべて竹田社長の人柄が反映した結果なんだと。

 
つつむ No.157号 (2019年4月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
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