導入事例・お客さまの声

人と機械、生産のハイブリッド化で 品質アップ、効率アップを実現  株式会社 トングウ 様

フレックスインクラスターご活用事例

株式会社 トングウ 様( 岡山県総社市)

岡山県総社市(人口約6万9000人)。桃太郎伝説に由来する鬼ノ城跡など、多くの史跡が残る歴史に彩られたこの地に、1店舗で、1日500人、週末には850人という驚きの集客を誇る人気店がある。今年、創業  年目を迎える老舗ベーカリー「トングウ」様だ。「トングウ」様は、初代が昭和3年に創業して以来、地元に根ざしてこの地の方々と共に成長してきた。もはや総社市でその店名を知らない人はいない。そして、同店には前述の集客数を裏付ける超人気の商品がある。それが、昔なじみの袋入りでパッケージに「上あん」と印字された「油ぱん」である。1日に800個、週末には1200個を売り上げるというまさに同店の看板商品だ。このベーカリーを率いるのが、3代目の吉田宣弘社長。さっそく伺って人気の秘密を取材させていただいた。
 

 
 
 
株式会社 トングウ
代表取締役 吉田 宣弘 様

吉田様は、創業者(頓宮家)から数えて3代目。2代目の時に同社に入社し、通常業務に従事しながらも製パン技術の研鑽に力を注いだ。2代目が引退する際には、「トングウ」の伝統の看板を任され、当初経営者という立場にとまどいながらも、家業に縛られない自由な発想で、同社をさらなる飛躍に導いた。
お客さまの途切れないお店
写真上:トングウ様店内 写真下:看板商品の「油ぱん」(上あん)
トングウ様で売られる袋入りのパンは「袋パン」と呼ばれ地元の方々に親しまれている。「油ぱん」もそのひとつで、
創業当初から製法やパッケージも変わっていないという正に看板商品。1日800個、週末には1,200個が完売する。
「お待たせしました。油ぱんが出来ました」。店員さんが番重ごとお店に並べると、待ってましたとお客さまが番重から3つ、4つと「油ぱん」を取っていく。同店ではごく日常の風景ではあるが、見ていると入店するお客さまで「油ぱん」を手にしない方がいない事に驚く。まず「油ぱん」を取って、そのほかに好みのパンを選んでいくのが定番のようだ。なんとこの「油ぱん」発売した年こそ定かではないが、地元の皆さまが「初代が開店した当時から食べていたよ」と証言してくれるほどの超ロングセラー商品なのだ。「油ぱん」について、吉田社長はこう話してくれた。
 「この商品は初代のころからあるというだけでなく、商品の形状、基本製法、そしてパッケージもまったく変わっていないんですよ。だからまさにうちの代名詞なんです。でもこの商品が呼び水になって多くのお客さまが来てくれるのはありがたいですね」。吉田社長の言葉通り、お店にはお客さまが途切れることがない。お昼前後をピークにお店に入りきれず、外で待つ方も見受けられるほどだ。吉田社長はこんなエピソードも語ってくれた。「先日ね、お店の入り口の自動ドアの調子が悪くなって業者さんに来てもらったら、うちのお客さんの出入りが多すぎて開閉の回数が限度を超えているのが原因だって。『最初に店舗規模から想定した開閉数をはるかに上回ってます、これじゃ壊れますね』と言われたんです。冗談かと思いましたが、後で来店者数を見返してみたら、確かにうなずける数字だったんですよね(笑)」。 

「フレックスインクラスター」導入
脅威の販売数を誇る「油ぱん」。気になるその製造工程も見せていただいた。お店から数十メートルほどのところに工場がある。工場は棟をわけて給食用米飯工場とパン工場に分かれ、従業員の方は両方を行き来して製造を担当している。「ご覧の通り、うちは従業員も限られた人数でやっています。米飯のある日は、そちらを済ませてからパンの製造にかかる。給食も間に合わせなくちゃならない。
『油ぱん』も待っているお客さまがいる。どうしたら両立できるか悩んでいた時期があったんです。そんなタイミングで『フレックスインクラスター』を知って、これがあればと考えて導入にいたりました」と同機導入のいきさつを語ってくれた吉田社長。導入後のメリットについてはこう話してくれた。「従業員が多数いたころは、『油ぱん』の包あんもそれこそ1日がかりで人手でやっていました。最初はいいんですが、後のほうになってくると形や重量も均一じゃなくなる、しまいにはパン生地が発酵してしまって使い物にならないこともありました。『フレックスインクラスター』を入れてからの包あん作業は、800個の生産なら3人で1時間もあれば終わってしまう。これは大きいですね。それと、日の浅い従業員でも、ある程度教えてあげれば、均一な商品をつくることができるんです。パンの製造は、機械でうまくできるところもあるし、繊細で小回りの利く人の手が必要な部分も当然あるわけですよ。この人手不足のなかで『効率』と『品質』の両方を望むのなら、やはり機械と人のハイブリッド化が必須だと実感しています。私自身、結構細かいところが気になる性分で、あれはやったか、これは大丈夫かとついつい従業員に口うるさく言ってしまっていたんです。ところが機械を入れてからは、安心してその場を離れられるようになったんです。私もいろいろ言わなくて済んでほかの作業に集中できる。従業員も細かいこと言われなくて済む。お互いメンタルの面もストレスフリーでいいですよ」。

看板商品「油ぱん」の包あん作業は「フレックスインクラスター」が受け持つ。吉田社長は「経営者の立場からみると、ベテランで賃金の高い人も、入ったばかりの人も、全員が同じ質の仕事をこなしてもらうのが一番です。それは、ボタン操作でやることに行き着く。多少の手際の良さに差があっても、できてくる品質が均一ならばそれだけでメリットになります。これは、機械生産にしか望めないことです」と生産の機械化には確固たる持論がある。

  
「フレックスインクラスター」は、生地を投入するだけで、あんの吐出、包あん、 搬出を自動で行うことができます。
包あんした「油ぱん」は、発酵後にフライ。その後、片面にシナモンパウダーをふりかけるのも特徴だ。

「油ぱん」(上あん)1個125円(税込価格)
昭和3年の創業当初から販売され、地元の方々に愛されてきたロングセラー商品。吉田社長の代になってからは、
単に店売りだけではなくイベントなどの注文も増えて、最近はSNSなどを通じてその知名度は、県内にとどまらず
全国に拡大中。
※SNS:ソーシャルネットワークサービスの略。インターネットを通じて幅広い情報の発信・ 受信ができるサービス

3代目の自由と葛藤
老舗ベーカリーの3代目となった吉田社長の歩みは、さまざまな葛藤の連続だったという。「先代から、次の社長をやってほしいと言われた時にまず最大の葛藤がありましたね。当時は一番下の従業員でそれまで経営という視点ではまったくやってきませんでしたから。ゼロから自由にやっていいと言われたんですが、『油ぱん』は代替わりしても食べ続けられている完成した商品、これを守っていかなければと漠然と思いましてね。それで、社名を変えただけで、お店も商品も引き継いでやらせてもらったんです。それでも家業を継いだ直系ではなかったので、変なプレッシャーもなく自由にできたんです。ただ、自分流にやってうまくいっていた時は良かったんですが、だんだんお客さまも離れ、売り上げも下がってきてしまった。ここでもさまざまな葛藤がありました。そして気がついたんです、自分のやりたい事イコールお客さまが望んでいる事じゃないってことに。それからは、何をしたらお客さまに喜んでもらえるかを一番に考えるようになって、うまくいくようになりました」としみじみと語る吉田社長。伝統の「油ぱん」も販路を広げるためにさらに日持ちの改良に励む。また、新たな柱として挑んだコッペパンサンドも順調な伸びをみせている。引き継いだ伝統をしっかり守り、そのうえで新しい挑戦を果敢におこなう。もはや単なる自分流ではなく、経験に裏付けられた吉田流が確立している。これこそが今の「トングウ」様人気の源泉であろう。  


つつむ No.158号 (2019年7月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。           
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