導入事例・お客さまの声

お客さまを飽きさせない革新的な老舗企業   株式会社 桔梗屋様(山梨県笛吹市)

お客さまを飽きさせない革新的な老舗企業

株式会社 桔梗屋(ききょうや) 様(山梨県笛吹市)

「地球上でもっともお客さまを飽きさせない企業であること」。そう経営理念にうたう老舗企業がある。創業は明治22年、130年以上の伝統を継ぐお菓子メーカー、山梨県笛吹市に本社を置く桔梗屋様である。その桔梗屋様が考案した「桔梗信玄餅」と言えば、地元山梨県にとどまらず全国でも知らない人がいないほどの圧倒的な知名度を誇る。今回は、老舗でありながら伝統に縛られない革新的な企業風土を持ち、次々に新しいヒット商品を生んでいる同社の取り組みについて取材させていただいた。

見せられるぐらいの工場でなければ
 
 
 
中央自動車道一宮御坂(いちのみやさか)インターにほど近い、1万1千平方メートルという広大な敷地内に桔梗屋様の本社がある。
 

 
 
ここには、同社の看板商品「桔梗信玄餅」を生産する工場が併設されており、「桔梗信玄餅工場テーマパーク」として全国に知られている。
 
 
テーマパークの名の通り、ここでは「桔梗信玄餅」の生産工程の見学に始まり、商品の包装体験や詰め放題、他店舗では買えないアウトレット商品の購入、独自に企画したカフェやレストランでの食事など、一日たっぷり楽しめるとあって、平日でも多くの家族連れや観光バスが訪れる観光名所になっている。
 

 
お客さまを魅了し続ける同社の取り組みについて、さっそく社長の中丸純様にお話を聞かせていただいた。
 
 
「工場見学を始めたのは、30年前ごろからですね。
当時、工場内を公開しているところはそう多くなかったと思います。
その後に、工場見学ブームが来ていろいろな業界で生産工程が見られるようになりましたよね。
そうは言ってもノウハウが集約されている場所ですので、見せたがらない企業さんも多いと思います。
自社工場について言えば、お客さまに自信を持って見せられるぐらいじゃないとだめだと思っています。
私たちは、このような設備で一つひとつ心を込めてつくっています。
どうか安心してお買い求めくださいというお客さまへのメッセージにもなりますし、従業員も見られることによって身も引き締まり、お客さまの期待に応えたいというモチベーションにもつながりますから」。

 
「桔梗信玄餅」が与えてくれる発想

 
桔梗屋様は、「桔梗信玄餅」から派生した新商品を次々にヒットさせている。
 
「ロールケーキが最初でしたね。
父から何かおもしろいロールケーキはできないかと話がありまして、私も洋菓子にたずさわっていたので、そちらからのアプローチで考えてみたんですが、なかなかピンとくるものができなかった。
そんな時に目の前にあった桔梗信玄餅がヒントをくれたんです。これを巻いたらおもしろいんじゃないかって急に発想がわいたんです。
試行錯誤を重ねて商品化にこぎ着けました。完成したものは、食感のおもしろさとお餅の絶妙な味わいがあって、いいものができたなという実感がありました。
こんな発想を与えてくれた桔梗信玄餅にあらためて感謝です」と中丸社長。
 
 
こうして商品化された「桔梗信玄餅生ロール」のスライス工程には、弊社の「ソニックスライサー」をご活用いただいている。
 
生産をしている山梨市工場でその導入効果を伺ったところ「ロールケーキとお餅という異なる素材が混在していてもきれいな断面にスライスできるので商品価値がさらに上がりました」との高評価をいただいている。
 
この他にも、軍配を模したクッキーのサンド菓子「信玄軍配」の生産には、スライス時に形状をくずさず成形できるオプション「重合ノズルソニックスライサー」を取り付けた火星人Ⓡラインがフル稼働。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三重構造で中心にお餅を入れて新しい食感と味を演出した「桔梗信玄餅万寿」の生産には、包あんした商品のトレイへの配列、トレイのラック差し、蒸し上げまでを自動化した「ラックBoxスチーマー」ラインが活躍中だ。
 


 
こうした生産の機械化について中丸社長に伺ってみた。
 
「機械がないとつくれない商品もございます。ただ私の考えでは、塩梅(あんばい)や感覚を知る人間の手作業と効率を生む機械の両輪でものづくりをしていくのが理想だと思っています。機械の導入は、人手不足の解消というよりも従業員の作業軽減という意味で大いに効果が上がっています」。
 
 
リピーターにもワクワク感を
 
桔梗屋様の経営理念である「世界中でもっともお客さまを飽きさせない企業であること」。
その具体的なアクションを中丸社長に聞いてみた。
 
「工場見学や体験コーナー、ゲーム感覚の詰め放題、そして、前述した『桔梗信玄餅』から派生した新商品の販売など、初めて来ていただいた方々にはもちろん、リピーターの方々にもワクワクしていただける何かがないとだめだと思っています。それには、企画と商品の両面で常に新しいことに挑戦していく企業体質が必要になりますね」。
 
同社には、「代々初代(だいだいしょだい)」という言葉が受け継がれている。
当然のことながら初代は、常に新しいことに挑戦して道を切り拓いていく必要がある。会社を引き継いでいく者たちも、伝統に縛られすぎると同じことしかできなくなり、結果として会社は弱くなる。
それを打破するために、常に初代の心構えで新しいことに挑戦して行こうという教訓だと言う。
 
「世界中でもっともお客さまを飽きさせない企業であること」の本質はここにあると実感させられる。
同社の新しい試みの一つとして工場アウトレットがある。
 
ここには、規格外になったものや賞味期限が近くなってきたものをきちんと説明したうえで安価に販売している。
「私たち、ものをつくる者としましては、心をこめてつくったものが敢えなく廃棄されることが一番悲しいことなんです。安全が担保されたうえでお客さまが納得してお求めいただけるなら、その仕組みは、私たちがつくっていかなければという思いで始めたんです」と経緯を語る中丸社長。
 
その考え方に対するお客さまの理解は、工場アウトレットの連日の行列をみれば明白であろう。
そこには、新しいチャレンジがきちんとニーズにはまっていく、同社の秀逸な企画力が感じられる。
 
原点を訪ねて
 
甲府市の繁華街から少し離れた通りに桔梗屋甲府本館がある。
ここに桔梗屋様の原点がある。
 
「うちにとっては、とても大切な場所ですね。
明治25年にこの地に本店を移転したんです。
当時は、8坪の小さい店舗ながら『きんつば』で評判の菓子店でした。
中心地から離れた立地だったんですが、かえってそれが良かったんだと思います。
人の流れが少ない分、いろいろと考えなければならなかった。
そんな状況下、祖父と祖母、父とで、通年おみやげとして使ってもらえる山梨を代表するお菓子を、そして全国のお客さまに喜んでもらえるお菓子をつくりたいと考え出したのが『桔梗信玄餅』だったんです」。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
感慨深く語る中丸社長。原点の地に甲府本館を構え、同館に「桔梗信玄餅」を生み育んできた銅鍋を今も大切に展示している。 
 
  「時代の流れは、誰にも止められません。短期的にお客さまの嗜好(しこう)の変化を見ながら商品も企画も柔軟に対応していくつもりです。そのなかで、『桔梗信玄餅』はやっぱりいいねと言ってもらえるよう、相乗効果を考えていきたいですね」。
 
伝統と革新、相容れないテーマを巧みに操り相乗効果を狙う。
中丸社長率いる桔梗屋様の今後の展開からますます目が離せない。
 
 

 
  つつむ No.161号 (2020年4月号)掲載
 ※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
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