導入事例・お客さまの声

有限会社 喜田家(きたや)様(東京都足立区)

「お客さまを喜ばせたい」  創業者の信念を今につなぐ

有限会社 喜田家(きたや)様(東京都足立区)

喜田家様の人気商品「江戸太鼓」。1個130円。もちっとした食感が特徴の焼き菓子で贈答用、お茶うけと幅広く使用されている。 喜田家様の人気商品「江戸太鼓」。1個130円。もちっとした食感が特徴の焼き菓子で贈答用、お茶うけと幅広く使用されている。
東京都足立区千住。江戸時代、日光街道・奥州街道の1番目の宿場町として栄えた「千住宿」をルーツに持ち、当時から多くの旅人との交流で育まれた人情深い街としても知られている。
この地に千住を愛し、千住に愛された菓子店がある。その菓子店が今回ご紹介する喜田家様だ。
同社は、1955(昭和30)年に初代の田口栄一様が創業、その後を2代目となる田口恵美子様が受け継ぎ現在、足立区を中心に路面店11店、テナント9店を展開するまでに躍進させてきた。
創業者の信念をいかに継承し、ブランドを発展させてきたのか、田口恵美子社長にお話を伺う機会をいただいた。

 
「喜田家」に込められた思い足立区千住緑町に拠点をおく喜田家様(本社工場外観)足立区千住緑町に拠点をおく喜田家様(本社工場外観)
隅田川沿いに広がる足立区千住緑町。街の喧騒から少し離れた通りに、喜田家様の本社工場がある。
 
松尾芭蕉が「奥の細道」で旅立ちの地として選んだ千住宿に思いをはせながら、千住とともに歩んでこられた同社にさっそく取材に訪れた。
 
迎えていただいた田口恵美子社長に、興味深い同社の歩みからお話を伺った。  
「喜田家を語るには、まず創業者の父の性格からお話するのが解りやすいと思います。一言で言うと、不器用ですがユーモアがあって面白い。頭の回転が早くてアイデアがどんどん出てくる人でした。
戦争に行ってもへまばかりで活躍できず、食糧係をやらされていた。しかしここで、材料調達のアイデアが沸いて重宝がられたと聞いています。終戦で帰国後も、闇市で上手に材料を調達できるので、友達と組んで『栗饅頭』をつくって大ヒットさせたなんてエピソードもあるんですよ。この時も、自分は和菓子づくりの技術はないからと自ら店番にまわっていた。ここで『どうしたらお客さんを喜ばせることができるか』そればっかり考えていたと言うんです。実際、父の接客は大人気だったらしいですけど。実は、これが喜田家の原点なんです。
『お客さまを喜ばせるには、何をしたらいいか』すべてそこから始まる。
なにせ、喜田家の屋号の由来は、皆さんを喜ばせたい田口家なんですから(笑)」。
 
その後、幾多の苦難を乗り越えて創業された喜田家様。行動指針がぶれない同社は、しっかりとお客さまの心をつかんでいくことになる。
 
「創業当初は、とにかく材料にこだわっていました。
技術がないところでお客さまにいかに喜んでもらうかと思案した時、ここで勝負するしかないと思ったんですね。
どら焼きと最中で始めたんですが、どら焼きは父が試行錯誤しながら焼いてました。失敗するといつも私たち子どものおやつになってましたけど(笑)。そのどら焼きも後には、日経新聞で東京のどら焼き人気ランキングの上位で紹介されるまでになるんですが、今でも父のひたむきな努力が思い出される逸品です。
その間ずっと、どら焼きよりも手間の少ない最中を、母が要領よくつくって稼いでくれていましたので、母の功績も相当なものでした。こうして父母の二人三脚で喜田家の土台ができていったんです」と感慨深く語る田口社長。

2代目の発想
「私がなんとか自分でやれるようになった時に、父の時代からいらっしゃった職人さんたちと入れ替わりで、現本部長の森山に来てもらったんです。これが大きな転機でした。
彼は機械にも精通していて、職人の技と機械生産との棲み分けを上手に実現してくれました。
 
一方で私は、工場に対しても素人発想でどんどん口に出してしまうので、自分で言うのも変ですが現場はきっと大変だろうなと思います。
 
この間も工場に入っていろいろ見ていたんですけど、人手でつくっているお菓子があって、どうも効率悪く見えたんですね。なんとかならないかと思って、もう一度工場内を見まわしたら、あらっ、ここに火星人があるじゃない、形にこだわるから機械でできないだけで、最初から火星人でつくる発想で形を決ればいいんじゃない。そうしたら、もっと安く提供できる。お客さまが喜ぶのは、どっちかしらみたいな。ここから先は、森山本部長がちゃんと実現してくれると思います(笑)」。
 
 
素人発想と言い切る田口社長だが、その物事の見方は、まったく固定観念にとらわれていない。
「できない」を「こうすればできる」に一瞬で変えてしまうのだから素晴らしい。
 

 
 
連携が生む効率
 
この日工場では、人気商品「江戸太鼓」の生産がおこなわれていた。
 

 
火星人「CN580」での生産について森山本部長にお話を聞いてみた。
 
「『江戸太鼓』は、おかげさまでお土産などにも大変好評をいただいている商品で、生産は1日おきですが、1回に平均1万個、多い時には1万5千個を生産しています。『CN580』は品質がとても安定してできるので助かっています。
 
この後も、『レベントロータリーラックオーブン』で一気に焼いていますので生産効率はかなり高いですね。固定窯に比べて、焼きムラも無いですし、途中ひっくり返したりしなくていいので、担当者がかかりっきりにならない。『CN580』との連携も抜群です。
 
連携と言えば、生産後に『RN洗浄機』も大活躍しています。部品の洗浄は、結構な重労働なんですよね。今までは水槽に入れて2~3人で30分以上かかって洗っていましたが、今はセットすれば放っておいても10分程度で済んでしまいますから。火星人の部品だけじゃなく、番重など何でも洗ってしまいます。これは本当に重宝していますよ」
 
と生産の効率化には高評価をいただいた。
 
もっとドキドキ・ワクワクを
現在同社では、「火星人」とさまざまなオプションを使い、焼き菓子、大福、最中など幅広い商品を生産していただいている。
同社の今後の商品展開、店舗展開について田口社長に聞いてみた。
 
「商品アイテムは意図的に絞っていこうと考えています。その中で売れる商品を増やしていく。売れる商品=お客さまが喜んで買ってくれる商品だと思うんですよ。売れないことには生産性も上がっていかないので、『火星人』でつくったこの子たちをいかに輝かせて送り出してやるか、それを考えるのが私の役目ですから。
そういう意味では、レオンさんの講習会や展示会にはもっと積極的に参加していきたいと思いますよ。そこには、機械の新しい使い方や売れる商品のヒントなど宝物がいっぱい詰まっていますから。
店舗のほうは、特に路面店にもっとドキドキ・ワクワク感を持ち込みたい、いやそうしなくちゃいけないって思いますね。子供がケーキ屋さんやパン屋さんに入った時に抱く、ドキドキ・ワクワク感、日常の中の非日常のような演出が和菓子店にも必要だなあって。思うところはたくさんあるので、ひとつひとつ実行していきます」。
 
田口社長の視線は常に前を向いている。
 
みんなが喜べるように
取材当日、喜田家様とは長いお付き合いという資材会社の社長様に、こんなお話を聞くことができた。
 
「喜田家さんは、地元のお客さまを本当に大事になさる。お客さまが喜んでくれるならばと原料も生産者のところまでわざわざ行って確認してくるほどです。そしてこちらには、生産機械も上手く使って生産性を上げながら、そのうえ上生菓子をきちんとつくれる腕をもつ職人さんがいる。こんなに情熱があってバランスのとれた和菓子屋さんはなかなかありません。ぜひ、和菓子の文化を若い人たちにも伝えていってもらいたいですね」。
 
関係する人たちが思わず期待したくなる、そんな不思議な魅力を喜田家様は持ち合わせている。取材を通して、田口社長のこんな言葉が印象に残る。
 
「究極の目標は、お客さまはもちろん、普段お世話になってる生産農家さん、材料屋さん、機械屋さん、従業員、そしてその家族、みんなを喜ばせる喜田家になりたいですね」。
 
これらひとつ欠けても上手く回らない。
そんなふうにも聞こえてくる。
人情の街、千住の喜田家様は、周りの期待をパワーに変えて今日も走り続ける。
 

 
つつむ No.162号 (2020年7月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。  
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