導入事例・お客さまの声

株式会社 青木松風庵 (あおきしょうふうあん)「月化粧ファクトリー」様(大阪府阪南市)

「月化粧(つきげしょう)」を大阪から全国へ! 

株式会社 青木松風庵 「月化粧ファクトリー」様(大阪府阪南市)

大阪府の南西部に位置する阪南市。
ここに銘菓「月化粧(つきげしょう)」を手掛ける青木松風庵(あおきしょうふうあん)様が、新たに展開する「月化粧ファクトリー」が誕生した。
 
この施設には、冠商品である焼き菓子「月化粧」の製造工程が見られる見学コースをはじめ、お菓子の歴史や同社が厳選した原材料の展示コーナー、ゆっくりくつろげるカフェにお菓子教室、もちろん買い物ができる店舗も備えている。家族や仲間と訪れても楽しめる要素がたくさん散りばめられた、大阪の新しい観光スポットとなることは間違いない。
 
さっそく青木一郎社長をお訪ねして「月化粧ファクトリー」をはじめとした同社のブランド戦略をお聞きした。

 
 
銘菓誕生
 
「今年10歳になるんですよ」。青木社長の「月化粧」を愛でる目は、まさに父親そのものだ。
 
10年前、現会長である父、啓一様が新しい大阪みやげに育てようと世に送りだした同商品。当時取締役だった一郎様もその思いを現実にすべく手塩にかけて育ててきた。そして、今や名実ともに大阪を代表するおみやげ銘菓に成長した。
 
「発売当初、モンドセレクションにお菓子を出品しておりまして、金賞をとるべく本命にしていた焼き菓子とともに『月化粧』も出してみたんです。ところが、本命が銅賞で、まだ駆け出しの『月化粧』がなんと金賞をいただいたんです。今にして思えば、運命を背負ったお菓子だったんですね『月化粧』は」。
 
青木社長がしみじみとエピソードを語ってくれた。それから同社は、真の大阪みやげになる本命菓子として『月化粧』にその命運を託していったのである。
 
※モンドセレクション:食品ほか幅広い商品の技術的審査をおこなうベルギーの企業。その審査結果は世界中で認められる権威あるもの。
 
「月化粧」のブランド戦略
まあるいお月さまをイメージした、みるく饅頭「月化粧」は、今や大阪みやげとしておなじみのお菓子である。
 
「この『月化粧』の知名度を上げるための戦略の一つとしてテレビCMがあげられますが、当時社長だった父は、中途半端を嫌いましたので、利益の範疇(はんちゅう)でここまでやろう。だめだったら1年で止めようと明確でしたね。
 
今もその考え方は継続しています。
 
当時、おみやげ菓子でも有名なお菓子メーカーの役員さんと話す機会がありまして、その方が自社のお菓子の成功の秘訣(ひけつ)について、『そのお菓子が稼いでくれた利益は、単純に会社の利益にするのではなく、そのお菓子に再投資するんだ。そうすれば、お菓子がさらに利益を生んでくれる』と語っていました。とても印象に残りましたね」。
 
そう語る青木社長は、自身が長年温めていた構想を遂に現実のものとする。
2020年7月、満を持して「月化粧ファクトリー」をオープンさせた。
 
「月化粧」をNext stageへ
 
率直に「月化粧ファクトリー」のコンセプトをお尋ねしてみる。
 
「皆さん、関西国際空港が近いこともあり、単純にインバウンド向けの施設と思われる方も多いようですが、当社の考え方は少し違います。
『月化粧』も関西圏では、ある程度の知名度も得られてお買い求めいただく範囲も広がってきましたが、まだまだです。
たとえば、私たち日本人は、北海道に行けばあの定番のお菓子、東京ならこのお菓子と地域単位で認知していますが、海外の方は訪問する地域に関わらず、おみやげには事前にネットで調べた日本の有名なお菓子を買われます。
ですから、『月化粧』も関西だけでなく日本中の誰もがしっているお菓子を目指していきたい。ここは、そのための施設なんです。
まず地元の方々に来ていただいて、『外から来たお友達、ご親戚とぜひ一緒に来てください』と徐々に範囲を広げて、最終的には日本全国の皆さんに利用してもらえる施設にしていきたい。そこから始めて、実績を積んだその先にインバウンド需要も見えてくればいいなとは思っています」。
 
そうお答えいただいた後に、こんな話を続けてくれた。
 
「ある方が高校球児の話をされていて、『甲子園出場を目標に地方大会を勝ち抜いたチームが、甲子園で勝つことはなかなか難しい。最初から全国大会優勝を目標に勝ち進んでくるチームは、日々の練習の仕方や選手のモチベーションから違うんだ』この話を聞いてとても共感しましてね。『月化粧』も私たちも目標をひとつ上のステージに設定して、今のうちにやることを変えていかないとならないと実感しているところです」。
 
機械を道具として使いこなしていく
次に、お使いいただいている生産機械についてお聞きした。
 
「現在『月化粧』だけでも1日平均約4万個製造しています。
昨年末のピーク時は、1日に16万個なんて日もありました。もう機械なしには、考えられません。
 

 
これからの時代レオンさんの機械は、職人が使う道具として認識していかなければならないと思っています。
マニュアル通りに動かせば、お饅頭ができますよというのではなく、うちのお菓子にあった方法で、製造担当者が、餡(あん)べらや秤(はかり)と同じように火星人を使いこなしていくイメージですね。
 
その昔、手際よく短時間でお饅頭を包めた人を良い職人と呼んだのなら、これからは、レオンさんの火星人を上手に使って、効率よくお菓子をつくれる人が良い職人と呼ばれるようになるのではないでしょうか(笑)」。
 

 
同社は、創業当初から小豆から吟味した自家製あんを使い、その日に売り切る朝生商品は、早朝から製造し提供を続けている。やるべきことを当時からまったく変えていない、基本にこだわり抜いた菓子メーカーでもある。
 
青木社長は、こう話される。
「かのピカソだって基礎のデッサンを極めているからこそキュビズムが映えるんです。菓子屋だって一緒ですよ。やることをきちんとやっているからこそ新しいことに挑戦できるんです」。
揺るぎない基礎を持って一歩先に挑む、頼もしきリーダーの一言である。
 
※キュビズム:20世紀初めに生み出された新たな美術表現。複数の視点から見たイメージを、一枚の絵の中に集約し表現したもので、単一の視点から描くというルールを覆した革新的な技法と言われる。
 
 
つつむ No.163号 (2020年10月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。   
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