導入事例・お客さまの声

製パンシステムVM300ライン1号機をご導入 有限会社 岡本パン店 様(栃木県宇都宮市)

医療機関からの期待と信頼に応えるベーカリー 「安全・安心で最高においしいパンを」

有限会社 岡本パン店 様(栃木県宇都宮市)

栃木県宇都宮市の老舗ベーカリー「岡本パン店」様に新型製パンシステム「VM300」の1号機をご導入いただいた。
同社の創業は1936(昭和11)年。
小売・卸売の複合業態で、「街のパン屋さん」として愛されているだけでなく、医療機関や企業内売店向けのパンを中心とした製造卸売で地域の暮らしと健康を支えている。
3代目社長の岡本年史様にお話をうかがった。

 
 
地域に愛されて80年超
岡本パン店様は、レオン自動機本社から車で約30分の住宅街にある。
長らく学校の給食や購買部のパン生産を請け負っていたことから、弊社でも数々の社員から「お昼はダッシュで岡本パンさん」というのが学生時代の思い出と共に語られる。
店舗には圧倒的にリピーターが多く、親子3代で通うお客さまも少なくない。
 
岡本社長は、
「こちらも3代目ですが、お客さまも代々ファンと仰ってくださる。感謝しかないですね。
創業当時は、初代の祖父がリヤカーを引いて個人商店にパンを卸していました。商人気質だったようです。
戦争で営業を一時中断したものの、2代目の父が店舗をオープンし、小売・卸売の両輪経営が始まりました。
祖父に対して父は職人気質。難しい注文も断らず、いつも『良いパンを、納期通りに』とひたむきにパンを生産していました。
後に母も事業に加わり、販売や配達、問屋さんとの対応など幅広くこなし、お客さまの声を商品や店づくりに取り入れて経営する好循環が生まれていきました」。
 
現在メインで請け負っている医療機関向けのパン生産が本格的に始まったのは、1998(平成10)年から。
 
「それまで高校購買で25年以上販売してきましたが、同じ時間帯に配達車と従業員が一斉に出動するのが厳しくなり、惜しまれながらも全校辞退しました。
ちょうどそのタイミングで、総合病院の入院患者さん向けに病院食としてパンをつくれないかとご依頼があって…。 医療機関へ納品するパンは、高い安全衛生レベルを求められるだけでなく、入退院者数による日々の増減、疾患別の小ロット発注や個包装など細かなご指定が多いです。
例えば『減塩食パン8枚切りを1枚ずつ個包装して40食』など、大手さんからも小さいリテイルさんからも敬遠されがちですよね。
でも、父はいつものように『うちなら大丈夫』と。新たなステージが始まりました」。
 
唯一の楽しみを最高の時間に
病院食は重症化予防など治療の一環でもあり、間違いがあると健康を損ないかねない。
一方で、入院生活の唯一の楽しみとしている方も多く、
「父は、『安全・安心は大前提。唯一の楽しみを最高の時間にしたい。
味気ないものでなくおいしいパンで患者さんに喜んでもらいたい』と、誠意を込めてつくっていました。
すると、パンに託した想いが伝わり週1回の納品が7回に、1施設が15施設以上にと…。新規開拓の営業活動はしていなかったのにも関わらずです。
後に聞いた話では、栄養士さんと患者さんがクチコミで広めてくださったようです。
治療であってもおいしいものを食べたいという気持ちに寄り添えたかなと思います。
ところが2003(平成15)年、父が倒れ、現場に立てなくなり…。修業から戻った私が製造チーフという職責で自社に入り、後に社長に就任しました。
医療機関は1年契約が多いのですが、ありがたいことに更新を続けていただいています」。
 
この医療機関向けをはじめとしたパンづくりに「VM300」をご活用いただいている。
  清掃のラクさが決め手に
ご導入のきっかけは、以前使用していた分割機(他社機)の老朽化と、写真右上の「低たんぱく無塩パン」生産にある。
 
「摂取制限がある患者さんにもおいしいパンを、と開発した製品です。塩が入らない生地は、ベタつきやすく締まりのない状態。デリケートで扱いが難しいです。
塩はグルテンを引き締めコシを出し、気泡をしっかり包み込んでくれるので。生地の特性もさることながら、機械に前の生地(塩分)がある状態で無塩の生地は流せないので、以前の分割機では苦労していました」。
 
万が一にでも健康に害があってはならないためだ。
 
「生産工程の都合で朝一番に食パンを流したい日も多く、無塩パン生産の際はその後約30分かけて機械を清掃する必要がありました。そのため生産量が少ない場合は、やむを得ず手分割を選ぶことも。
現在、『VM』の途中清掃は1名で15分程度。機械内部が『見える化』していて衛生的なのが良いですね。生地はほとんど残らないし、残っていても付着している部品やベルトは取り外して洗えます。
生地に優しいおかげもあって、無塩パンの生産を完全に『VM』に移行できました。デリケートな生地なので一般の分割機では工夫が必要で手間がかかると思います。重量精度も良いですね。秤量しながら分割するシステムなので、発酵状態にかかわらず指定した重量で出てきます。ほかにも、減塩食パンやアレルギー除去(卵・乳除去)パンなど健康面での安全・安心を求められるパンが多いですが、問題なく生産できています。また、デバイダーオイルをほとんど使わないこともあり作業環境がきれいです。保健所の衛生検査でも高得点でした」。

 
いつものおいしさをもっとおいしく
現在の売上比率は卸売7:小売3。
「VM」は両方で約80種類のパン生産にご活用いただいている。
先の無塩パンは入院患者さんからの評判も良く、店頭でも予約販売でのみ対応している。
 
「退院後に『もう一度食べたかった』『このパンなら減塩生活を続けられる』とご来店くださるお客さまが多く、地域密着で卸・小売の両方やっていて良かったと思えるところですね」。
 
商品開発については、
「病院食は、患者さんの顔こそ見えませんが、食べる時間は分かるのでそのタイミングでベストな状態になるよう配合や生産スケジュールで工夫しています。
店売りは、特にシニア向けの親しみやすいラインアップで定番商品に磨きをかけることを目標に改良を続けています。
店舗オープン時から40年以上販売している商品も多く、『いつものおいしさ』をお求めになるお客さまがたくさんいらっしゃるので『もっとおいしく』を命題に。ロングセラーのパンは何かしらコレという魅力があると思うので、そういう核の部分は残しして、時代に合わせて変えるところは変えています。
私は、大学で経営学を学んだ後に千葉の駅前ベーカリー、仙台の大型商業施設内ベーカリーの2社で修業して、戻ってきた自社は地方の住宅街。立地で客層、売れ筋が異なることを身をもって実感しています。ここは車で来ていただくご家族のリピーターさんが本当に多いです。これからも地域ニーズに応えられるような商品開発を続けたいと思っています」。
 
今後については、
「何が起こるか分からない時代ですが、『安全・安心』がますます重要視されることは間違いないです。卸・小売ともこの当たり前を絶やさず、80年以上の感謝の気持ちをお客さまに還元できるよう努力して参ります。『VM』にもそこで活躍してもらいます」。
 
地域の期待や信頼に応え、これまでの歴史を未来につなげていきたい。
若き経営者の決意がうかがえた。

 
つつむ No.163号 (2020年10月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。   
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